化学・生物・農学系

樹木医

樹木のお医者さん

樹木医は、樹木を診察し、樹木を治療するのが仕事であり、出来るだけ負担の少ない方法で治療します。
私たち人間も体調不良になると医者に診てもらい、負担少なく早く治るよう薬をもらったりします。
同じように樹木医も樹木を治療するのです。
自然界に生きている樹木に治療が必要なのか、というのは野暮な疑問でしょう。

しかし樹木は人と違い、話すことも出来ず、表情にも表せません。
どこが痛くどこが病気なのかは、樹木の変化を見ないとならず、その変化を見つけるのが大変です。
人間と違い、薬も多種多様に開発されておらず、樹木用の新薬開発を積極的に行なうような企業も少ないので、限られた中で治療しないとなりません。

治療するときは、診察し、分析し、処置します。
樹木も人と同じように、気温やウイルスなど様々な外的要因が関わってきて、病気を発生させますので、その要因を特定するのです。

そして治療するときは、よく観察することから始めます。
樹木を撮影して、情報を集め、幹の内部を観察したり、測定器具で測定して変化を見つけていきます。
処置では、薬剤の散布や肥料を与えたりと、いくつかの方法があります。

樹木医は、造園会社や植林会社、農業大学や地方公共団体、研究所などが主な職場です。
樹木医として働くときは、専業ではなく、その職業の知識や技術を高めたり補助するために、樹木医として働いている人が多いです。

樹木医になるためには

樹木医になるには、林野庁が主導して行なっている樹木医制度があります。
1991年にスタートした制度であり、当時は国家資格でしたが、現在は民間資格になっています。
樹木医として仕事をするためには、この資格を取得せねばならず、財団法人日本緑化センターが主催している試験を受けて、資格を取得します。

試験を受けるためには、造園業などで7年以上実務を経験する、樹木医補の認定を受けた後に1年以上実務経験するの2つのどちらかです。
樹木医補という制度もあり、これは大学などで樹木などの知識を学ぶと試験が受けられ、試験合格すると認定されます。

樹木医の試験を受けるには、まずは毎年夏に研修受験生を選ぶ試験が行なわれますので、それを受けないとなりません。
研修受験生に選ばれると、講義や実習が行なわれ、面接もあります。
最終的に合格となると、樹木医登録名簿に登録されて、この名簿を元にして仕事の依頼が来ます。

樹木医になるには資格を取得すると仕事が出来ますが、その他の資格も併せ持つと、仕事には有利です。
造園修景士、環境カウンセラー、森林インストラクターなどがありますので、余裕があればこれらも取得しておくと良いでしょう。
特に官公庁の仕事で入札を行なうときは、このような資格が入札条件となりますので、幅広く仕事をするなら、取得しないとなりません。